札幌大学孔子学院 理事長
学校法人札幌大学 理事長
荒川 裕生理事長挨拶
札幌大学は平成29(2017)年に創立50周年を迎え、この間、外国語、経営・経済学、文化学などの教育研究を通じて国際的な視野を持った地域や産業の担い手を輩出してまいりました。
そのような中、日中における文化交流の進展に貢献すべく、平成18(2006)年に札幌大学孔子学院を開設し、社会人向けの中国語講座や青少年の交流など様々な事業に取り組んできております。
札幌大学及び札幌大学孔子学院といたしましては、国際社会の発展と安定に向けて我が国と中国との互恵関係が一層重要となっている今日、諸事業を着実に推進し、交流拠点としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
広東外語外貿大学 党委书记
石 佑启祝辞 「和」の思想は儒教の真髄
このたびの札幌大学孔子学院の開設に当たり、私は広東外語外貿大学を代表して、謹んでお祝い申し上げます。
2000年に及ぶ時間の中で、中日の両民族は友好的に交流してきました。古代の中華文明は日本文化の形成と発展に寄与し、また近代の中国は日本から多くの重要な文化の成果を学びました。1972年の国交正常化以来、中日関係は政治、経済、文化、教育、民族往来などの各方面で大きな発展を遂げ、両国と両国人民に多大な利益をもたらし、地域と世界の平和、発展を促進するうえで重要な役割を果たしてきました。
「孔子学院」は、中国が中国語教育と中国の民族文化を普及させるため、2004年から海外で設立してきた非営利の機関であり、多くの国や地域から重要視されています。孔子は儒教思想の開祖であり、儒教思想は、中国古代の政治、経済、文化、教育、ひいては社会生活、風俗習慣などに、広く、かつ深く影響を与えました。その中でも、時代の要請に合った多くの儒学のエッセンスは、今なお中国の人たちに行われており、中国人の思考習慣と行動様式に目に見えない形で影響を与えています。とりわけ、「和」の思想は儒教の真髄であります。中日両国は一衣帯水の関係にあり、共に儒教の影響を受けた二大文化体系として、両国の文化には共通するものがあり、異なる点もあります。共通する点はおもに、共に「和」を重視し、「和」の位置づけと役割を強調していることであります。和とは調和、平和、融和であり、すなわち自分自身も他の人も共に利があるということであります。今から約千四百年前、日本で初めて成立した成文法の第一条には、「和を以って貴しと為す」と記されています。
「和」の根本は相互理解です。相互理解を深める最も良い方法は、直接向かい合っての交流です。そして、言語は交流の最も大切な手段であり、かけがえのない重要な役割を有しています。だからこそ、広東外語外貿大学と札幌大学が共同で孔子学院を設立したことは非常に有意義なことといえます。
広東外語外貿大学と札幌大学は長年にわたり、友好的な提携交流関係を続けており、これまで、学生の交換、大学院への推薦入学などの分野において、実り多い成果を上げています。
この両校の友好交流と相互理解を基礎に、お互いの強みを補い合うことで、札幌大学孔子学院が必ずや成功を収め、両国の国民の文化・教育交流を結びつけ、それらを促進する、重要な架け橋やきずなとなることを、私は確信しております。ここに、広東外語外貿大学と札幌大学の合作交流がますます発展することを心よりお祈り申し上げます。